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2014/05/25

「感染予防チックリスト」日本赤十字社和歌山医療センターと和歌山県警の取組み

こんにちは エル・プランナーの橋本です。

先日、和歌山へ出張し、日本赤十字社和歌山医療センターと和歌山県警本部へお伺いしました。
日本赤十字社和歌山医療センターでは、集中治療部長 救急部副部長をしておられる辻本登志英先生にご面会いただきました。

高度救命医療センター(74床:集中治療室、特定集中治療室、救命救急病室)では、辻本先生のご指導の下、昨年から、死亡退院時に死亡診断書と一緒に『感染予防チェックリスト』をご遺族にお渡しするシステムが確立され実施しておられます。
今回の訪問は、救命医療の先駆者であられる辻本先生の『医療における死後ケアの考え方』と『感染予防チェックリスト』への取組みについてお話を伺ってまいりました。

辻本先生の死後ケアの考え方は、『高リスク体液が漏れ出ないように死後処置をする』というもので、紛争国への国際医療救援活動に参加されたドクターから受け継がれたそうです。
「医療には限界があります。無念にも救えなかった患者さんに対し、医療現場の死は、それで終わりではない。搬送業者(主に葬儀社)につないでいかなければならない。ご遺族は(帰宅後)、ご遺体から出たもの(血液・体液等)を自分のもののように受け入れる傾向がある。だからこそ、安全にお返しなければならない。」と、お話して下さいました。
ご遺族にとっては、「医療の死が終わりではない。続いている」のです。私が、帰宅後の死後ケアを始めてから20年になりますが、血液等が漏れ出ない死後処置の実施を医療へ願い続けてきた理由の1つでもあります。高度医療の最前線におられるドクターから、その言葉を聞けたことは、何よりも嬉しかったです。

『遺体に携わる人たちのための 感染予防対策および遺体の管理』(医事出版社)の出版から12年の年月を経て、ようやく「感染予防チェックリスト」の配布が、救命医療の現場で始まりました。
まだまだ時間がかかると思いますが、感染予防対策上の死後処置が実施されていくことを切に願い、これからも普及に役立つ活動(講習会等)を行って参ります。
エル・プランナーでは、今年から『遺体感染管理士認定資格講座』を開催しますが、その中で、「感染予防チェックリスト」も学習課題として挙げています。

辻本先生の死後ケアに対する考え方や体験談、実際どんな感染予防チェックリストを作成しておられるのかなど、是非、皆様方に聞いていただけたらと、先生にお話しいただけないかお願いしたところ快くお引き受けくださいました。現在、講演を企画中です。内容が決まり次第、ホームページでお知らせしますので、引き続きエル・プランナーのホームページをご覧くださいませ。

和歌山県警では、捜査第1課 統括検視官 警視 高砂和彦氏にご面会いただきました。
和歌山県警の取組みについては、次回お話ししたいと思います。引き続き新着情報をご覧いただけると幸いでございます。

「感染予防チックリスト」:
医療機関から患者を死亡退院させる際に、その後に及ぶ感染予防の目的から医療従事者がご遺体の状況を記載するもので、義務や効力を持つものではないが、イギリスのようにすべてのご遺体に死体袋(パウチ)の使用がなされていない日本では、感染予防対策上医療機関と搬送業者(主に葬祭業従事者)との連携が必要であるとの認識からICHG研究会著者らが作成し提案したもの。

「感染予防チェックリスト」
掲載文献: ICHG研究会(Infection Control Hospital Group)著(医事出版社) 『遺体に携わる人たちのための 感染予防対策および遺体の管理』2002年初版、2011年改訂、P.69

高度救命医療センター:
全国245施設ある救命救急センターのうち、27施設が高度救命救急医療センターの指定を受けている。日本赤十字社和歌山医療センターは平成23年に指定された。

日本赤十字社和歌山医療センターは、1985年から紛争国への国際医療救援活動を始め、2000年には、日本赤十字社から「医療救援活動拠点病院」として指定された医療機関です。

今回の訪問は、葬儀社「慶集社」専務取締役 美粧衛生師 平野泰寛氏が、ご遺体のケアの専門家の立場から、『感染予防対策上の死後処置』の普及への活動が実ったものです。
これからも、平野氏は、地域の医療機関へ、『感染予防対策上の死後処置』の普及活動を行って参ります。病院へお伺いした際は、死後ケアについてご相談、ご質問等をお受けいたしますので、どうぞお気軽にお声かけ下さいませ。

美粧衛生師は、感染予防対策上の死後処置の手技を習得した死後ケアの専門家です。

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