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2014/07/22

遺体感染管理士認定資格養成講座 第1回、第2回 セミナーレポート

第1回6月7日、第2回7月5日、東京の中野サンプラザにおいて遺体感染管理士認定資格養成講座を開催しました。佐賀県、山口県、福岡県、和歌山県、千葉県、静岡県、長野県、広島県、大阪府、岐阜県、愛媛県、東京都など全国から看護師の方がご参加くださいました。

遺体感染管理士認定資格養成講座は、わが国初の死後ケアの認定資格者を養成する講座です。本講座の目的は、患者様を手厚く看取る心情的側面からだけではなく、死後処置の第1の目的である感染予防のための手技を学んでいただき、資格を取得された後は感染予防対策としての死後処置の実施ならびに伝達・指導を目標にする講習です。

本講習は、(1)なぜそうするのかがわかる(根拠) → (2)手技を見る(観る) → (3)手技をやってみる(実習する) という3ステップの学習スタイルで行っています。受講者の方々が、短時間に効率良くより学べるという目標を掲げ、病院へ戻られた後、実践しやすい、伝達しやすい、学習方法に注力しています。 テキストは、『遺体に携わる人たちのための 感染予防対策および遺体の管理』(医学書)と『基礎看護技術 感染予防対策上の死後の処置』(看護書籍)の2冊を使用しました。
医学書では標準予防策に基づいたご遺体からの感染予防対策を、看護書では帰宅後のご遺体の出血事例から、なぜ出血等が起こるのかという理由や漏れ出ない手技を解説させていただきました。

午前中は、ご遺体から感染が起こる理由と死後処置の目的(感染予防等)、感染予防対策の実践方法、消毒剤の使用等の理論学習を行いました。
また、エル・プランナーが遺体感染管理士養成講座のために自社制作した技術編DVD(初公開)を用いて、CVカテーテル抜去痕、気管切開痕、注射針痕、ペースメーカ抜去痕、ストマの処置など医療器具(用具)・福祉用具抜去後の手技、遺体用口腔ケア、メイク技術、閉口補助具の使用方法等の手順や手の動かし方を視聴していただきました。

このDVDの制作には大変苦労しました!約25分のDVDなのですが、なんと死後処置と化粧の全部で12の手技を見ていただけるよう、端的なナレーションと技術を行う手元の明瞭さに務め、さらに受講者様が飽きることなく興味深くご覧いただけるようにと、軽快な流れに仕上げました。お陰様で、受講者様には一連の死後処置の手技を短時間で視聴いただくことができました!

午後は、遺体圧迫固定法3部位の手技や、医療マネキンを使用して鼻腔・口腔の詰めもの、閉口技術の実習を行いました。メイクマネキンを用いて3パターンのメイク実習を行いました。
遺体用圧迫固定法の実習では、ガーゼの厚さや圧のかけ具合、伸縮性粘着テープを貼付する際のポイントを体験していただきました。遺体用圧迫固定法は、死後処置の必要不可欠な基本手技です。見ていると簡単そうですが、「実際に体験しなければ見ているだけではできない」と、遺体用圧迫固定法への驚きの声と感想をいただきました。

遺体感染管理士認定資格養成講座へご参加いただいた看護師の方々は、順次認定試験を受験され間もなく試験の合否通知とともに初の認定資格者が誕生します。
これからは、感染予防を踏まえ院内指導ができる遺体感染管理士の方々が増え、わが国の実情に適した死後ケアへと改善されることを願っています。
長時間の講習にもかかわらず、大変熱心に受講いただき誠に有難うございました。

講師:橋本佐栄子、橋本友希
AT:荒田康世 看護師(静岡県 共立蒲原総合病院所属 院内認定死後処置専門看護師)
AT:平野泰寛 美粧衛生師(葬儀社:有限会社慶集社専務取締役)

文 橋本佐栄子

■セミナー風景

受講者の方からお手紙を頂きました

先日は遺体感染管理士認定資格養成講座において、とても分かりやすい講義、丁寧な指導をしていただき、本当にありがとうございました。当日は始発の新幹線の移動でしたので、途中寝てしまうのではないかと心配していましたが、楽しくてあっという間の1日が過ぎていました。
早速病棟スタッフに遺体用圧迫固定法を広めるために“エンゼルケア新聞”を作成し、病棟部会で伝達講習会を行いました。現在院内全体の基準も変更するために、管理職会議にかけて返事を待っているところです。
当院でも葬儀社さんへの申し送り用紙を活用し、葬儀社さんからも好評価をいただいていますが、今回紹介していただいた状態チェック表はパッと見ただけでも理解しやすいものでしたので、スタッフにも紹介し、さらによいものにできたらと思っています。看護師として責任をもってケアを提供できるようにこれからも努力していきたいと思っています。
今後もご指導くださいますよう、どうぞよろしくお願い致します。本当にありがとうございました。

平成26年7月11日
尼崎医療生協病院
緩和ケア病棟  大森 有美

お手紙 拝見しました。有難うございました。

死後ケアへの院内での取組みをお知らせくださり、丁寧なお礼のお手紙を頂戴し誠に有難うございます。看護師の方々がEBMに基づいた感染予防対策上の死後処置の考え方や、遺体用圧迫固定法などの血液・体液が漏れ出ない死後処置専用の手技を広めてくださることがエル・プランナーの願いです。
また、状態チェック表(感染予防チェックリスト)は、日本赤十字社和歌山医療センター救命救急・ICUを始めとして各医療機関での取組みが始まっています。ぜひ活用いただき搬送業者様、ご遺族の皆様など公衆衛生の安全のためにお役立ていただけると幸いです。
遺体感染管理士認定資格養成講座で学ばれたことを活かし、最期の医療としての死後ケアが感染予防の視点に立ち最善のスタイルへ改善されることを願っております。大森様のさらなるご活躍をお祈り申し上げます。

講師 橋本佐栄子

感染予防チェックリストは、葬祭業従事者、搬送業者が血液・体液・排泄物等との接触を予防する目的で手渡す資料です。感染予防チェックリスト作成時のポイント等については遺体感染管理士認定資格養成講座で学習します。

文献:
「遺体に携わる人たちのための 感染予防対策および遺体の管理」
ICHG研究会編 2011年7月改訂第1刷  医事出版社 
p.69「遺体搬送従事者に手渡す感染予防チェックリストの一例」参照

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