近頃、死後処置が看護技術として認められたことを受けて、
全国的に少しずつエンゼルケアの見直しを始められる病院が増えてこられたように感じます。
現在行われている死後処置は、慣習的な手技や情報が多く存在しており、
看護師の方々にとって、何が正しいのか判断が難しくなってきているように思います。
死後処置業務の見直しを考えておられる方々からは、以下のご質問を頂戴します。
容姿や身支度に関する見直しは、患者さんへの尊厳やご家族への慰めであり、良いことだと思います。
身支度は、携わる人たちが愛情をもって、患者さんとご家族に応じてその場で判断して、対処されると良いと思います。
病院全体としては、「清潔な着衣を身につけ容姿を整える」程度のアウトラインで良いかと思います(マニュアルに表記する場合)。
ご遺体の尊厳は、清潔なお体であること、清潔な着衣を身につけておられること、陰部がおおわれていること(プライバシーの保護)が基本的な考え方です。
身支度や容姿の整え方などの具体策は、病棟に一任し、それぞれの病棟に合った方法をとられることが望ましいと思います。
病院全体として標準化を望むあまり基準を具体化しすぎると、実際に病棟によっては実践できないことが起こります。
例えば、何をお着せするかということ一つをとっても、洋服を持参されていることもあれば、用意の無いこともあります。
お化粧も、ご家族と一緒に余裕をもってできる場合もあれば、ご家族の心情的や患者さんのお体の状態等から、それどころではない状況もあります。
各病棟では、過去のご逝去された患者さんの事例を基に、ご家族の立場に立って、
具体的なお着替えやお顔の整え方などの方法を十分話し合われて決められてはいかがでしょうか。
その際の注意点は、病棟職員全員が実践可能な範囲にとどめましょう。あまりハードルを高くせずに、決められることをお勧めします。