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2013/02/13

関西看護出版様主催「実践にすぐに役立つ 遺族ケア・エンゼルケア・エンゼルメイク」
講習会 セミナーリポート

2012年12月22日、関西看護出版様主催のお招きにあずかり、「実践にすぐに役立つ 遺族ケア・エンゼルケア・エンゼルメイク」講習会東京会場にて、講師を務めさせていただきました。冷たい雨の中、悪天候にもかかわらず、100数名の方々が受講下さいました。
病院勤務の看護師の方だけではなく、訪問看護事業所、介護施設からもご参加くださいました。昼食をはさんで5時間と、長時間の講習会でしたが、死後ケアに関心を寄せておられる医療者の方が増えたこと、また、皆様大変熱心に受講いただきましたことを感謝申し上げます。

「遺族ケア」「化粧」は橋本佐栄子が、「死後の処置」は橋本友希が担当講師を務めました。今回の講習会の特徴は、化粧と死後処置の基本手技を、大型スクリーンに映し出し、処置の手技を動画でご覧いただきながら解説するというスタイルで行いました。
これまでの講習会では、手技の実演風景をビデオ撮りしながら、スクリーンに映し出す手法で解説して参りました。しかし、手技の実演風景を映写すると、講師の手で肝心な手技が影になる場合があるといった点に課題を残しておりました。
具体的な手技を、さらに確実にご覧いただけるようにと、出版社様の講習会の質の向上を目指すご意向から、事前に手技をDVDに撮影収録していただき、今回の講習スタイルになりました。
初めての試みで、大変緊張いたしましたが、これまでの講習以上に、手技の見やすさ・わかりやすさといった点に、ウエイトをおいて進めさせていただけたのではないかと思います。

ご遺体からの感染について、「これまで考えたことがなかった!」「気がつかされた!」「病院では詰めなくてよいと教えられたけれど、やっぱり出血するんだ!」というご意見を多くいただきました。
弊社エル・プランナーが講師を務めさせていただく死後ケア研修の特徴は、『感染予防対策上の死後処置』と、『身近な材料で短時間にできる、ケアとしての化粧法』を、エビデンスに基づいて学んでいただける点です。
病院から搬送中や帰宅後に、鼻腔・口腔から多量に血液が流出してきた事例や、医療器具抜去痕からの血液・体液の流出事例をご覧頂いだきました。詰めものが行われていない場合、不適切な処置であった場合に、ご遺族に惨事を招いている現状をご理解いただけたのではないでしょうか。

ご遺体に対し礼を尽くして行います。ご遺族に対して、お慰めする言葉かけが必要です。死を目前にした時、それは、人として当然のことだと思います。
 死生学の著者山本先生のお言葉を借りて申し上げるならば、喪失悲歌P.131慰めより、「死別、生別にかかわらず、悲歎に打ちのめされている人に対し、手を尽くして慰めてあげること、これは同じ時代を生きる者として当然やらなければならないことである。」

わが国の死後処置は、悲歎にくれるご遺族に寄り添う優しさと、ご逝去された患者様の心身の葛藤への敬意を尽くすという点では、講習会への関心度が高まる傾向から考え、良い方向へ進んでいるように思います。反面、医療の発達した欧米諸国と比べ、公衆衛生を守る意識、感染を予防するという考え方については、個人差があると思いますが、普及は遅れているように感じます。

医療における死後処置は、公衆衛生を守るという基本的役割を重視しなければなりません。死後処置は、最終の人道的医療であるとともに、公衆衛生の観点から大切な業務です。上述する双方が、どちらも欠けることなく役割を果たせてこそ、最善の死後処置と言えるのではないでしょうか。
弊社エル・プランナーは、講習セミナーを通して、根拠に基づいたより良い死後ケアの手技をお伝えできるよう、これからも真摯に取り組んで参ります。

受講者様、熱心に最後までご静聴頂き有難うございました。講習会を主催していただきました出版社様ならびに撮影会社の皆様、多大なご協力誠に有難うございました。

参考文献:「死生学」山本俊一著 1996年12月15日第1版第1刷 医学書院

文:橋本佐栄子

■講習風景

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