看護師の方から、メイクセミナーの際に、「黄疸を消す(かくす)方法を教えてください」「黄色を混ぜてファンデーションをつけると教わったのですが…」「黄疸が出ている場合、どのように化粧したら良いのでしょうか?」といった、黄疸肌の化粧法へのご質問をいただきます。
以下は、約300ケースについて弊社が独自で行ってきた『ご遺族の黄疸肌に対する感じ方及び化粧への要望』の調査結果です。長年の実務経験の中で、実際に化粧を行う前にご家族とのカウンセリングからまとめたものです。ご家族が、黄疸肌が気になるケースでは、黄疸の発現が死亡前1週間前後と最も多く、それ以前から発現しているケースでは、気にはなるが病気による肌色の変化を受け入れておられることが多いという結果も出ています。
ご遺族の黄疸肌に対する感じ方及び化粧への要望
※感じ方・要望の多い順から記載します。
■男性患者
・(ご家族は)気にならない、気づいていない
・(ご家族は)あまり気にならない
・(ご家族は)気になるが、化粧顔になるのだったらしてほしくない
・(ご家族は)気になるが、化粧顔に見えるのはいやだ、黄色が少し薄くなるくらいでよい
■女性患者
・(ご家族は)気になるが、濃い化粧はいやだ、黄色が少し薄くなるくらいでよい
・(ご家族は)あまり気にならない
・(ご家族は)気にならない、気づいていない
・本人が気にしていたので、化粧が濃くなっても美しくしてほしい
調査から、黄疸が出ていても、ご家族が気づいていないことや気にしていないことがわかります。またご家族すべてが化粧を望んでいるわけではないことがわかります。男性患者より女性患者の方が、ご家族が黄疸肌を気にしておられ、化粧を望む傾向があります。男性患者のご家族は、化粧顔を好まない傾向があります。女性患者では、ご自身が生前から気にされていたという特徴があります。
さてエンゼルメイクですが、上述を参考にご遺族の心情に沿って、無理のない化粧が良いと思います。医療における黄疸肌の化粧は、普通肌と同様の化粧法をお勧めします。黄疸肌は、黄色さが薄く出ている場合、濃い場合など、患者様一人ひとり異なります。女性で黄色さが濃い場合は、ファンデーションの量を普通肌より少し多めにつけて仕上げてもよいと思います。ファンデーションは、カバーメイク用等の濃い化粧品は避け、普通肌用のクリームタイプをお勧めします。黄色さが薄い場合は、普通肌と同様でよろしいかと思います。男性にはファンデーションはつけない方がよいでしょう。
他の化粧法としてカバーメイクという化粧法があります。カバーメイクは、隠すことを目的とした化粧で、ファンデーションの材質が堅く、濃く仕上がるのが特徴です。濃い化粧によってご本人らしさを損なうリスクが高い化粧法です。カバーメイクは、※ファンデーションの色調の調整が難しく、化粧に時間がかかります。安易に行うと、ファンデーションの厚塗りになり、お面のようなお顔になってしまいます。化粧後に少々黄色さが見えても、厚塗りをしてご本人らしさを損なうことがないよう対応されることを願っています。
【ファンデーションの色調の調整とは】
一人ひとりの肌に合った色合いを出すために、数色のファンデーションを混ぜ、ファンデーションカラーを作ることをいいます。