新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により
ご逝去された方の搬送について

葬祭業は、感染症の有無にかかわらず、ご遺体に接触する業務を行うときは、手袋の着用が必須です。
医療の、「人の体が保有する病原体は調べつくすことができない」という考え方に基づいて、新型コロナウイルス感染症だけではなく、常日頃から手袋を着用することで、ご遺体からの感染は予防できます。
ご遺体に、普段、素手で携わっておられる葬祭業従事者の方は、ディスポーザブルグローブ(以下手袋とする)の着用は、簡単なようで難しいものです。手袋を外すときの感染を予防するために、汚染した手袋の外し方を練習しておくことをお勧めします。末尾に、汚染した手袋の外し方を掲載します。
病院、警察、ご自宅からの搬送にかかわらず、ご遺体から出血等がある場合に備え、納体袋を用意しておくとよいでしょう。

病院からの搬送

COVID-19によりご逝去された方を搬送する場合は、葬祭業従事者、搬送業者が病名を告げられることなく搬送することはありません※。ご遺体は、病院の霊安室で、棺に納められた状態で引き渡され、搬送することになります。棺で搬送する場合は、特別の感染予防は必要ありませんが、棺の汚染状況がわからない場合は、手袋を着用します。葬祭業従事者が棺を持参して、納体袋で納棺する場合は、納体袋の汚染状況がわからない場合は、手袋を着けて納棺します。
手袋を外した後は、石鹸と流水で手洗いをする必要がありますが、葬祭業は、すぐに手洗いができないため、アルコール消毒剤やウエットティッシュを車に常備し、棺を寝台車に納めたら、ハンドルを握る前に、手をアルコール消毒します。その後、できるだけ早く手洗いをします。

厚生労働省健康局結核感染症課、厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生課より、新型コロナウイルス感染症によりご逝去された方及びその疑いがある方(ご遺体)の引き渡しの取扱いについて、医療機関等へ、感染防止の観点から、ご遺体の搬送作業及び火葬作業従事者にその旨の伝達を徹底するよう、各都道府県、保健所設置市、特別区衛生主管部(局)へ、3月30日付で通達されている。

厚生労働省ホームページ 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第1版
https://www.mhlw.go.jp/content/000609467.pdf

警察からの搬送

病院以外の場所で、ご逝去された方は検案が行われます。COVID-19で自宅療養をされていた場合や疑いのある場合(検査中)の死亡の場合は、検案が行われます。警察から病名を告げられることなく搬送することはないと考えられますが、警察へ引き取りに行く場合は、手袋の着用が必須です。
血液・体液・排泄物等との接触に気をつけます。血液・体液・排泄物(嘔吐物を含む)等がある場合は、感染リスクを低くする目的から手袋を二重に着用します。手袋のほか、プラスチックエプロン、ガウン等の感染防御物品は、ご遺体の身体状況に応じて着用します。マスクやメガネは、ご遺体に出血や排泄物・嘔吐物がある場合等、血液・体液が、直接、鼻や口、目にあびるのを防ぐ効果があります。

厚生労働省ホームページ 新型コロナウイルス感染症に関連するQ&A(関連業種向け)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19_qa_kanrenkigyou.html


POINT
・ご遺体に接触する場合は、手袋を着用する。素手で触らない。
・手袋の破損等に備え、常に予備を常備する。
・血液・体液・排泄物等がある場合は、手袋を二重に着用する。
・手袋は、プラスチックグローブやニトリルグローブを使用する。布製の白手、軍手は不可。
・手袋を外した後は、石鹸と流水で十分手洗いをし、手を乾燥する。

【手袋の着脱について】

医療では、いったん手に装着した手袋は、汚染した手袋と考えます。
手袋を着ける時には、決まりはありませんが、外すときは、汚染した手袋が自分の肌に接触しないように、外し方にテクニックが必要です。
写真で、汚染した手袋の外し方のポイントを解説します。


手袋の外し方

洋服の袖をまくって手袋を着用する。


片方の汚染した手袋が肌に接触しないように袖口をつまむ。


手袋の外側が内側になるように、手袋をひっくり返す。


汚染した手袋を反対の手で握り込みながら手袋を外す。


最初に外した手袋を握り込んでいる状態で、反対側の手袋の外側に触れないように、内側に指を入れる。


手袋の外側が内側になるように、ひっくり返す。


反対側の手で、手袋を引っ張り、握り込みながら外す。


汚染された手袋が、安全に外せた状態。
汚染した手袋は、感染予防対策上、直ちにプラスチック製のごみ袋に入れて口を結ぶ。


実演:(有)エル・プランナー橋本友希:看護師 遺体感染管理士設立講師
撮影協力:有限会社平野屋葬祭


ロンググローブとショートグローブの二重着用 ~検案時などに有効です

ロンググローブの上にショートグローブを着ける。


手袋の外側が内側になるように、二枚一緒にひっくり返して外す。


写真は、東礼自動車株式会社世田谷営業所様にて撮影させていただきました。
ご協力ありがとうございました。


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