4月19日(水)八王子葬祭業協同組合様のお招きにあずかり「遺体からの感染予防」をテーマに研修会の講師を務めさせて頂きました。
研修会では、まず初めに、ご遺体からの感染に関する基本事項として、葬祭業に関わる感染予防に関する法律を「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」から抜粋し解説させて頂きました。
「法律なんて堅い話はいらないんじゃないの?」
と思われる方もおられたかもしれませんが、実は以前、エイズ(後天性免疫不全症候群)で死亡されたご遺体を24時間経たないで火葬されたケースがありました。
法律上エイズは五類感染症に分類されています。
24時間以内の火葬は違法です。
ご火葬に際し、葬祭業の責務として法律に基づいて行わなければならないことは言うまでもありません。
八王子市には、ニ類感染症を取り扱う東京医科大学八王子医療センターがあります。
専門職として、公衆衛生上24時間以内に火葬が義務付けられている病名は知っておく必要がありますし、エイズやハンセン病など病気に対する偏見ではなく、24時間経ってからでないと火葬してはいけない感染症も理解しておきたいものです。
葬祭業従事者の方は、病院へご遺体をお迎えに行く際、ディスポーザブルグローブを着用しておられないのが現状ですが、感染予防対策上、ディスポーザブルグローブの着用は必須です。
病院搬送の際には、それとともに免疫力が低下した患者様が入院しておられるので、院内感染予防のために使用したグローブ(汚染したグローブ)の外し方も理解しておくことが必要です。
研修会では医療に準じ、使用した後のグローブの外し方を実習していただきました。
葬祭業は、ご遺族からすればご遺体の管理者であり、ご遺体を取り扱う専門家と理解されていますが、ご遺体からの感染予防を適切に実施されている葬儀社はほとんどおられないのが現状です。
これでは、携わる従事者の安全が守れないのは言うまでもありませんが、ご遺族の安全も守れません。
わが国では、葬祭業従事者に対し、職業上の感染の疑いがあったとしても感染は個人の問題として捉えられています。ご遺体に直接、素手で携わることが葬祭業従事者の美徳とみなされる社会の風潮もあります。誤った古い習慣が事故を招きます。
近年は血中ウィルス感染症等、様々な感染症が問題となっています。これからもさらに未知なる感染症の出現が予想されます。感染症事情は大きく変わっています。
本研修が従事者の皆様とご遺族の安全・安心に繋がりますよう今後のさらなるご活躍をお祈り申し上げております。
ご参加者の皆様、ご清聴ありがとうございました。
八王子葬祭業協同組合理事長 町田貞修様、副理事長 溝口勝巳様、研修の機会を頂戴し誠に有難うございました。開催までの調整、資料の準備等のご協力を賜りました八王子葬祭業協同組合理事(株)濱中社長、遺体感染管理士髙杉孝様、美粧衛生師・遺体感染管理士髙杉美和子様、ご協力誠に有難うございました。
文 橋本佐栄子
◎八王子葬祭業協同組合
http://www.hachisokyo.com/
◎(株)濱中:感染症のご遺体を安全に取り扱うことができる葬儀社
遺体感染管理士 在籍
http://www.hamanaka-sougi.jp/
八王子葬祭業協同組合理事長 町田貞修様
八王子葬祭業協同組合副理事長 溝口勝巳様
研修会風景
「汚染したグローブの外し方」